演奏家vs指導者

どんな分野においても、一流を育てる教育をするには非常に高度な知識、技術、そして経験を有する。次世代に伝えていく為には、指導者というものは欠けてはならない存在である。


音大を卒業したはいいが、全員がプロの演奏家として食っていく保証というものはない。どんな人も演奏家を目指して、音大に入ったものはいいものの、いつかは現実の壁に突き当たり、自分が次のランランやユジャ・ワンになれないということを知る。


で、演奏家になれなかったから指導者を目指す?


なんで、指導者というものはいかにも最悪の選択かのようにして取られてしまうのだろうか。音大教授など安定した職業を得るのも非常に競争率が高い。そして、個人でピアノスタジオを開設するという方法に入る人は実質多い。


”音大を出て、結局は個人でピアノを教えているだけ?”

そういう風に、社会からはどうしても見下されがちだ。


医者、歯医者、弁護士・・・もし大手の病院、法律事務所、歯医者などに勤務することにならなくても、個人でクリニックを経営するとなると、音楽のピアノの先生ほど見下されたりはしない。街中には、堂々と”〜〜クリニック”と派手な宣伝広告を貼り付けることもできる。


指導者は、いつの時代にも必要であるし、指導者というものを目指す人がいてもいいと思う。そして指導者は、初心者から上級者まで全てのレベルを教えることができるといえて初めてプロだ。


リストは、生涯で一人しかピアノの先生がいなかった。そして、チェルニー、ベートーヴェン、モーツアルト、ハイドン・・・歴史をたどっていくと、偉大な作曲家たちが指導者としてしっかり携わり、それを次世代に伝えていることがわかる。


いつになったら、若者たちがピアノ指導法について熱く語る時が来るのだろうか。指導者、教授法について熱く話し、最高の教師を目指す若者はでてくるのだろうか。


と、ピアノ教授学の授業での討論より。

みさきのLA音楽留学日記

16歳で奨学金を給付され、アメリカに単身音楽留学。インターロッケン、リン音楽院を得て、現在南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校にて、ダニエル・ポラック教授のもとピアノ演奏科修士課程在学中。TABIPPO/PAS-POL夏の絶景ポストカード全国LOFT、東急ハンズ、ヴィレッジ・ヴァンガードにて発売中。Getty Imagesフォトグラファー

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